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掲載開始日:2015年1月5日

最終更新日:2015年2月21日

平成27年 区長年頭の挨拶

新年あけましておめでとうございます。

平成27年のすがすがしい新春を迎えるにあたり、区内各界を代表される皆さま方と、このように一堂に会し、和やかに交歓できますことは、私にとりましてこの上ない喜びでございます。

皆さまには、北区政に対しまして、日頃から、温かいご支援とご協力をいただいておりますことを、心から厚くお礼申し上げます。

昨年末の衆議院議員選挙を受け、日本は、引き続き、自公連立政権のもとで、再スタートを切ることになりました。新たな年の始まりに合わせ、このスタートが、さらなる大きな発展へとつながることを願いますとともに、多くの皆さまがそのことを実感できる一年となるよう、強く期待するものです。

そして、この東京12区からは、お二人の先生が、国政の舞台で、ご活躍をいただくことになりました。太田あきひろ先生、池内さおり先生、お二人におかれましては、今後も、国民の暮らしを守るためにご活躍いただく一方で、北区が直面する課題と区民の皆さまの願いや思いを、真正面から受け止め、地元北区の発展のために、ご尽力を頂戴できれば幸いに存じます。

特に、太田先生におかれましては、引き続き、国土交通大臣としての職を通し、まさに、政権の中枢でご活躍されるわけですが、私ども、北区の大きな課題であります、十条のまちづくりと鉄道立体交差化、そして、王子駅や板橋駅、東十条駅など駅周辺のまちづくり、さらには、区内鉄道駅のバリアフリー化などにおいても、大きなお力添えをいただけますよう、重ねてお願い申し上げます。

さて、昨年を振り返りますと、明るい話題が多い一年となりました。

2月にはソチ・オリンピックで、羽生結弦選手が、フィギア・スケートシングルで、日本人男子初の金メダルを獲得したほか、3月には、宇宙飛行士の若田光一さんが、日本人初の国際宇宙ステーションの船長に就任、6月には、渋沢栄一氏とも関係の深い、「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産に登録、また、10月には、青色発光ダイオードの発明などにより、三人の日本人がノーベル物理学賞を受賞しました。どの話題も、「日本」を世界にアピールする原動力となる素晴らしい出来事だったと感じています。

将来、国際舞台での活躍を夢見る子ども達のためにも、私たちは、常に、こうした「世界」というフィールドを意識しながら、日本人の能力や人柄、暮らしに息づく「文化」など、世代を超えて受け継がれてきた大切な財産を広く伝え、根付かせていく努力をしていきたいものであります。

一方、北区でも、昨年は様々な事がありました。

まず、4月には、赤羽岩淵中学校が新校舎に移転しました。他にも、田端小学校のリフレッシュ改修や区立学校のICT化など、これからの北区を担う子どもたちのために、計画的に教育環境の整備を行いました。

同じく、4月には、新河岸東公園の拡張整備が終了し、区内屈指の広大な公園として生まれ変わりました。また、8月には、中央図書館の来館者が、開館から約6年で500万人の記録を達成しました。

オープン以来、地元の皆さまから、「赤レンガ図書館」の愛称で親しまれ、優れた建築物としての評価もいただいてまいりました。今後も皆さまから愛され、区内外に誇れる図書館を目指して、努力をしてまいります。

次に、経済に目を転じますと、景気は、緩やかな回復基調が続いている、と言われておりますが、一方で、消費者マインドの低下や海外景気の下振れが、引き続き、日本の景気を下押しするリスクとなっており、地方財政への影響も懸念されているところです。

こうした中、区の主要財源である都区財政調整交付金は、回復傾向を見せてはいるものの、今後、さらに少子高齢化が進む現状等を考えると、今後も大幅な増収は期待できず、また、法人住民税のさらなる国税化による減収も懸念されるなど、引き続き、予断を許さない状況が続いています。

加えて、少子高齢化への対応や公共施設の更新需要、防災・減災対策、本格化するまちづくり、オリンピック・パラリンピック開催を見据えた取り組みなど、膨大な行政需要も見込まれているところであります。

そのため、計画的な基金の取り崩しや起債の効果的な活用などを行ってまいりますが、今後は、事業の縮減や廃止、また、事業と同様、公共施設についても、廃止や複合化といった大胆な見直しを検討していかざるを得ないものと考えています。区民の皆さまには、ご理解とご協力をお願いいたします。

それでは、これより、年頭にあたりましての北区政の現況と今年の主要課題の一端をご説明申し上げます。

北区では、昨年の暮れに、平成27年度を初年度とし、今後10年間に、北区が進めて行くべき基本的な施策の方向性を示す「北区基本計画2015」案を公表いたしました。

新たな基本計画では、「人が輝き」、そして「まちも輝く」ため、「次世代への継承」と「未来への創造」をコンセプトに、現在、そして、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、さらには、その先の十年後の北区を見据えた取り組みを行ってまいります。

そのために、引き続き、「区民とともに」の基本姿勢のもと、「地域のきずなづくり」と「ファミリー層・若年層の定住化」を区の最重要課題に位置付け、四つの重点戦略、とりわけ、特に、喫緊の課題となっている三つの優先課題に積極的に取り組んでまいります。また、北区の魅力や新たな価値を創出していくため、「まちづくりの一層の推進」や「東京オリンピック・パラリンピックを見据えた北区の魅力の発信」にも積極的に取り組んでまいります。

まず、最重要課題のうち、「地域のきずなづくり」については、区が実施する様々な施策を貫く基本理念として位置付けたうえで、「地域のきずなづくり推進プロジェクト」を中心に、町会・自治会をはじめとする地域で活動する団体やその担い手づくりの支援、また、地域振興室における総合調整機能の充実を図ってまいります。

「ファミリー層・若年層の定住化」では、「子育てするなら北区が一番」の取り組みを軸に、まちづくりなどの施策やシティプロモーション戦略と連携させながら、まちとしての魅力や価値を高め、ファミリー層・若年層に選ばれるまちづくりを積極的に展開してまいります。

次に、三つの優先課題のうち、「地震・水害に強い安全・安心なまちづくり」に、全力で取り組むことについてです。区内全域を対象に、防災行政無線のデジタル化を進めるなど、緊急時に、正確な情報を遅滞なく、迅速かつ、確実に発信するための基盤整備を行ってまいります。また、昨今、全国で被害が拡大している風水害や土砂災害に対する対応として、引き続き、雨水流出抑制施設の整備や浸水対策などに、一層力を入れていくほか、新たに、自主避難施設の確保や避難方法の構築、土砂災害ハザードマップの作成などを行ってまいります。

次に、「長生きするなら北区が一番」の実現です。日本全体が、本格的な超高齢社会を迎える中で、北区独自の新たな都市モデルを創造すべく、取り組みを進めてまいります。

これまで、23区の中でも先進的に進めてきました、介護と医療の連携を軸に、「住まい」、「予防」、「生活支援」が一体的に提供される北区版地域包括ケアシステムを構築してまいります。

また、超高齢社会における新しい高齢者像を確立していくため、元気な高齢者がいきいきと活躍できる環境を整備し、高齢者が自ら輝くことのできる社会を目指した研究を開始してまいります。

その他、町会・自治会の皆さまのご協力もいただきながら、地域の見守り、支え合い活動を、さらに拡充するとともに、「高齢者あんしんセンター」の区域再編を行い、新たに二か所の整備を進めてまいります。

次に、「子育てするなら北区が一番」をより確かなものにすることについてです。

現在、認可保育園については、23区の中でも、一番の整備率を誇っていますが、今後5年間で、さらに、約千人の定員を拡充するなど、待機児童解消策については、他区をリードしてまいります。

また、「教育先進都市・北区」をさらに前に推し進め、知・徳・体、そして、グローバル人材の育成など、生きる基盤を培うことで、子ども達が、自らの力で人生を切り拓き、将来、様々な分野で活躍できることを目指して取り組みを進めてまいります。

また、なでしこ小学校をはじめ、田端中学校、稲付中学校、そして、浮間中学校の改築に着手するなど教育環境の整備にも取り組んでまいります。

次に、産業についてです。区内では、未だ、景気回復が実感できる状況に至っておりません。

新たに、経営全般、販路開拓から技術の相談まで、訪問を中心としたワンストップ型相談窓口を設置するほか、外国人居住者や観光客などに対応するための事業を開始するなど、区内企業や商店街支援の充実を図ってまいります。

まちづくりでは、特に、「防災まちづくり」と「駅周辺のまちづくり」の二つを中心に、施策を充実していきます。

防災まちづくりでは、東京都との連携を図りながら、木密地域不燃化十年プロジェクトを中心に、木造住宅密集地域の整備事業を強力に進めてまいります。

駅周辺のまちづくりでは、十条駅西口の再開発事業を推進するとともに、埼京線の鉄道立体交差化事業に、本格的に取り組んでまいります。

また、王子駅周辺のまちづくりでは、引き続き、グランドデザインの策定を進めるとともに、国家戦略特区の区域指定を目指し、東京の北の拠点として、国際都市の形成に向けた取り組みを本格化してまいります。

その他、板橋駅や浮間舟渡駅の駅前広場の整備、検討を進めるほか、北赤羽駅、駒込駅については、2基目のエレベーター設置、橋梁では、新田橋をはじめ、懸案となっていました十条跨線橋の架け替え、それに伴う、東十条駅南口駅前広場の整備をそれぞれ進めてまいります。

環境対策では、引き続き、省エネ対策を推進するとともに、緑化推進モデル地区の指定を拡大してまいります。

スポーツでは、平成28年度のオープンを目指し、「(仮称)赤羽体育館」の建設工事を進めるとともに、2020年、東京オリンピック・パラリンピック開催を北区の魅力や価値を創出する絶好の機会と捉え、取り組みを進めてまいります。

ナショナルトレーニングセンター周辺においても、国家戦略特区の区域指定を目指すとともに、十条駅からナショナルトレーニングセンターを経由し、赤羽駅に通じる、通称、「ルート2020トレセン通り」を積極的にピーアールしていくほか、東京フェンシング協会の全面協力のもと、北区からオリンピック・パラリンピック代表選手を輩出する「2020チャレンジアカデミー」を実施してまいります。

以上、北区政の現況と主要課題の一端を申し上げてまいりましたが、人口減少、超高齢社会の到来、公共施設の更新需要、防災対策など、行政需要は増大しております。本日、お示しをしました施策を着実に進めるためにも、引き続き、改革への歩みを止めることなく、基本計画と同時に策定を進めております「北区経営改革プラン2015案」を絶え間なく推進し、更なる内部努力の徹底や歳入確保などに努めてまいります。

平成27年は、未年です。未(ひつじ)という文字は、未だ、事が熟していないことを表すそうですが、区長に就任してから3期、12年、区民や区議会、また、本日お越しいただいております多くの関係者の皆さまのご協力をいただきながら、区政の課題に全力で取り組んでまいりました。この間、一定の成果を上げることができた反面、事業を進める中で、未だ道半ばのもの、新たに取り組まなければならない課題も見えてきているところであります。

本日、ご説明させていただきました「北区基本計画2015(案)」を私の手で着実に推し進めることで、区民の皆さまが、将来に夢と希望を持ち、幸せを実感できる北区をつくってまいりたいと考えています。

私は、これからも、職員と一丸となり、北区の将来像である、「ともにつくり未来につなぐときめきのまち人と水とみどりの美しいふるさと北区」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

そして、「北区に生まれて良かった。」、「北区に住んで良かった。」という実感と誇りを将来の世代に残していく、これが、私の目指す、北区政の基本です。

区民の皆さまには、引き続き、温かいご支援とご協力を賜りますようお願い申しあげ、平成27年の年頭にあたりましてのご挨拶とさせていただきます。