新年度対応⑦ この危機を乗り越えて(校長)
この危機を乗り越えて
校長 小山 勉
滝野川の桜は例年より早く盛りを過ぎていますが、新型コロナウイルス感染症の拡散も、今年の桜のように、少しでも早く下火になってくれることを期待します。
本来ならば、始業式や入学式で意欲が高まり、希望にあふれたスタートを切ろうとするこの4月。子供たちには御家庭での生活を強いることになり、たいへん心苦しく残念ですが、この危機を大人の英知で乗り越え、予定通り5月7日(木)には、子供たちが笑顔で学校に登校できることを強く願うばかりです。
東京大学の納富信留教授が4月1日の新聞に、「今の状況は、当然受けられるべき日常生活が理不尽に奪われたのではない。当然だと思っていたことも、途方もなく多くの要素が組み合わされた偶然の産物、奇跡であり、それはとても脆いものである」という主旨のエッセイを載せられています。さらに「目の前にある見えない危機は、私たちが今まで当たり前に思っていたことが、文字通り『有り難い』ことだと気付かせてくれる。日々新たに起こる予期せぬ出来事や人間の頭脳で想定できない現象にその都度、冷静に理性的に、辛抱強く向き合うしかない」と続きます。
今年から小学校教育では、これからの予測困難な時代に対応できる能力を高めていくという課題が与えられています。そのために、子供たちは積極的に様々な体験をしたり、様々な人と話し合ったり、本から学んだりしながら問題を解決していく学習をします。インターネットの情報を取捨選択する力、学習した知識を一般化し他の場面で活用できるようにする力も伸ばしたいです。まさに、納富教授が述べられている今の危機を乗り越えていく能力、それを高めることに違いありません。
今年度も本校では、学校図書館を活用した授業を推進していきます。本と対話し、インターネットの情報を正しく捉え、書くことによって自分の考えを一般化し、深め広げていきたいと考えています。この臨時休業期間、本にたくさん触れていただければ幸いです。保護者の皆様、今年度もよろしくお願い申し上げます。