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掲載開始日:2024年7月9日
最終更新日:2024年7月9日
6月22日(土曜日)に映画会『ズートピア』、6月29日(土曜日)に独立行政法人日本芸術文化振興会理事長の長谷川眞理子氏を招いた講演会「ヒトはそもそもどんな動物なのか?~人類進化史から見たジェンダー~」が北とぴあ6階ドームホール(王子1-11-1)で行われた。
これは、国が設けた男女共同参画週間(毎年6月23日~29日)に合わせ、北区においても映画会や講演会を通じて、男女共同参画社会の実現を考えるもの。参加者にとっては、それぞれの個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現について改めて深く考える機会となった。
(写真:6月29日に開催された講演会の様子)
国は、男女が性別にかかわりなく互いに人権を尊重しつつその個性と能力を発揮することができる社会の形成に向け、男女共同参画社会基本法を施行し、その理解を深めるために、男女共同参画週間(毎年6月23日~29日)を設けている。北区でも、区民の皆さんに男女共同参画社会実現のためには何が必要で何ができるのかを考えていただく契機とするため、映画会や講演会を開催した。
6月22日(土曜日)に開催された映画会では、『ズートピア』が上映された。参加者は、肉食動物と草食動物が共に暮らす「ズートピア」を舞台に、新人警察官のウサギと詐欺師のキツネが、誰もが潜在的に持っている差別や偏見と向き合いながら事件を解決していく様子を、自分自身に置き換えながら鑑賞していた。また、警察官になるという夢を追いかける主人公のウサギが、数々の困難を乗り越え、草食動物として初めての警察官となり活躍する姿に、令和6年度「男女共同参画週間」のキャッチフレーズ「だれもがどれも選べる社会に」を重ねている様子だった。
6月29日(土曜日)に開催された講演会では、独立行政法人日本芸術文化振興会理事長の長谷川眞理子氏が、「ヒトはそもそもどんな動物なのか?~人類進化史から見たジェンダー~」をテーマとして講演した。はじめに、狩猟採集社会では、男性は大型動物を捕り、女性は子どもを育てるという「分業」により男女が平等な社会を形成していたが、牧畜社会の到来により男性が生計を握るようになり男性優位へと変化したことなどが説明され、参加者にとっては人類進化史からジェンダーについて考える有意義な時間となった様子であった。また、経済の中枢における女性の割合の少なさなどを例に、少しずつ変わってきてはいるものの変わる速度が遅いという日本の現状に言及し、氏は「これを変えていくためには、女性は自分の仕事だけでなく、積極的に組織の運営等の問題を知り意見を持つこと、よくないことは変えるという意志を持つことが大切です」と語った。本講演に訪れた女性は「人類の歴史の長さから比べれば、現在の男性優位の社会はほんの短い期間の出来事であるため、今の価値観を変えるのはそこまで大変なことではないと力付けられた」と話してくれた。
独立行政法人日本芸術文化振興会理事長 長谷川眞理子氏
進化生物学者。専門領域は行動生態学、自然人類学。東京大学理学部助手、専修大学法学部教授、早稲田大学政治経済学部教授、総合研究大学院大学教授、同大学学長を経て、2023年4月より現職。1996年Human Behavior and Evolution Society Best Poster Award、2001年日本進化学会教育啓発賞、2012年日本動物行動学会日高賞、2023年旭日中綬章を受賞。著書は『私が進化生物学者になった理由』(岩波現代文庫、2021年)、『人、イヌと暮らす 進化、愛情、社会』(世界思想社、教養みらい選書、2021年)、『進化的人間考』(東京大学出版会、2023年)、『自然人類学者の目で見ると』(青土社、2023年) など。
(令和6年7月9日プレスリリース)
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