ここから本文です。
掲載開始日:2024年7月31日
最終更新日:2024年7月31日
彫刻家・北村西望の生誕140年を記念した様々なイベントが、9月に(仮称)彫刻アトリエ館(西ケ原1-16-7)を中心に開催される。
同館は、昭和28年まで西望が暮らした北区西ケ原の自宅兼アトリエであり、長崎の平和祈念像の構想をした歴史を持つ。また今回、同館にて西望の平和祈念像の構想段階の雑記帳と、スクラップブックを特別展にて初公開する。これらからは、平和祈念像のイメージの創造を、人間でも神仏でもある「超人間」とした西望の意図がうかがえ、像の誕生の経緯がたどれる貴重な資料である。
【写真:平和祈念像構想当初は立像だったことが記録されている(初公開資料の一部)】
北村西望が永久の平和を願い、制作した平和祈念像。その制作を構想した地で、平和を祈念するコンサートを開催します。
(仮称)彫刻アトリエ館から北とぴあの間に点在する北村西望の屋外彫刻を、研究者のガイド付きでめぐる散策ツアーです。作品をご案内しながら、北区における西望の足跡を解説します。
国立印刷局東京工場の入場には、事前に名前と住所の提出が必須となり、当日は名前・年齢・住所が分かる身分証明書の提示が必要です。
北村西望と息子・治禧(はるよし)が制作拠点とした(仮称)彫刻アトリエ館を限定公開します。また、特別展「北区における西望の足跡と平和祈念像の構想」を開催します。
見学時間は1時間程度。財団職員がご案内します。
平和祈念像制作の基(もとい)となる西望の芸術観や平和への想いが記されている。
「表紙」 「メモ書きの一部」
平和祈念像の制作過程が写真やメモ書きなどで記録されている。
「表紙」 「平和祈念像の制作過程」
平成14年に北区が北村西望の遺族に寄贈を受けた資料の中から、西望本人が残した平和祈念像の構想段階の雑記帳とスクラップブックが見つかった。
この「雑記帳」には、平和祈念像の“超人間的”なイメージに至るまでの思考の道のりがメモされており、平和を人型で象徴するのに、どこまで人間に非らないものか、人間を超えるか試行錯誤がうかがえる。また、西望にとって平和祈念像の制作が、創造性を追求した芸術的挑戦であったことや、ほとんど言及されていない像の芸術的な探求が読み取れる。
また、西望自作のスクラップブックには、平和祈念像の制作過程が記録されており、構想当初は座像ではなく立像だったことを示す構想図や像の大きさを表す図面などが貼付されている。他にも平和祈念像の習作彫刻の写真への指示書きや、平和祈念像の仏画デッサンと過去に制作した仏像、人体像が写った写真もあり、「雑記帳」と合わせて、平和祈念像誕生の経緯が辿れる貴重な資料である。
長年原爆という社会的メッセージとともに知られてきた長崎の「平和祈念像」だが、2つの新発見資料によって、謎に包まれていた西望の芸術的な思索の一部が明らかになり、像にこめられた作者の想いをひも解く契機となる。これらの新発見資料は、北村西望生誕140年イベントで初公開の予定。
(令和6年7月31日プレスリリース)
お問い合わせ
所属課室:【その他】(公財)北区文化振興財団
電話番号:03-6338-5711