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掲載開始日:2018年5月22日
最終更新日:2018年5月22日
東京2020大会プロジェクトチーム(愛称:#ときおぱ)のメンバーが、2018年3月に開催された平昌2018パラリンピック冬季競技大会に、パラアイスホッケー日本代表として出場した上原大祐選手にインタビューをしました!
上原選手は、北区在住で、インタビューしたこの日は、平昌2018パラリンピック冬季競技大会の様子を花川北区長に報告しに来ていただいていました。
花川区長より、上原選手の健闘を称え、花束を贈呈しました。
Q 平昌2018パラリンピック冬季競技大会の前に復帰されたと思うのですが、なにかきっかけがあったのでしょうか。
A NPOを2014年に発足させて、いろいろな障害を持った子どもたちや保護者の方々と関わりを持っていくなかで、私が一度も氷の上に乗った姿を見たことがなく、「見たかったな。」「もっと前に知っていれば、見れたのにな。」という声が非常に多くて、これは自分に対するリクエストだなと思いました。現役復帰して、自分がスポーツしている姿をみなさんが見ることで、「スポーツって楽しいんだな。」「1回引退したけど、もう一回夢に向かう挑戦って、すごく楽しいんだ、ワクワクすることなんだな。」ということを、自分の元々の原点である氷の上でそれを表せたらいいなと思い、パラアイスホッケーに戻ってきたというのがきっかけです。
Q NPOの話が出ましたが、ご自身で起業や活動するきっかけはなんですか。
(障がい者と健常者が時間を共有する場を創ることで、誰もが夢を持って挑戦する社会を創造することを目的に上原大祐選手は、「D-SHiPS32」というNPO法人を立ち上げています。)
A 2004年に、カナダにパラアイスホッケーの試合に行ったときに、小さな子どもたちがすごく楽しそうにパラアイスホッケーをやっていて、この環境は日本にないと思いました。また、子どもたちを応援している保護者の方々もすごく盛り上がっていて、スポーツを通してファミリーが一つになっているなと感じました。元々、障害を持った子どもたちがスポーツをする環境が、日本に整っていないと思っていたので、2004年にこういう幸せな空間を日本に作りたいなと思ったのがきっかけです。
2006年ぐらいから岡山でパラアイスホッケーの体験会をやるようになり、定期的に東京から何回か通っていましたが、子どもたちが楽しんでいる様子、さらには子どもたちがスポーツをして、できないと思っていたことができるに変わるその瞬間を保護者の方が見ていて、すごく嬉しそうにしていました。また、それを支えているボランティアの方々も嬉しそうにしている保護者の方を見て、すごく幸せな気持ちになっていて、一つの幸せな空間を作れているなと感じました。
2010年にバンクーバーパラリンピックがあり、帰国してからもこの活動を続けたいと思っていたのですが、まだ自分もプレーヤーとして活躍していきたいとも思っていたので、2012年にアメリカでパラアイスホッケー留学を行いました。1年間アメリカで生活していましたが、現地の子どもたちもすごく楽しそうにプレーしていて、なおかつ日本にはパラアイスホッケーのチームが、4チームしかないのですが、アメリカは約90チームもあります。さらに、アメリカは、子どもたちを育てていくということが、最終的に今のアメリカが3連覇しているということにつながっていますが、日本はどんどん高齢化しているのが現状です。その理由として、日本は、現メンバーの強化ばかりしていて、普及に重点を置けていません。普及は最大の強化につながると思うのですが…。他にもさまざまな課題があるのでそこら辺も解決したいと考えています。やりたいことは、とにかく子どもたちにスポーツを届けたい思いだけで立ち上げた感じです。
Q スポーツを通じて、子どもたちにスポーツの楽しさを教えることなどを体現されているなと感じましたが、私たちにもできることはありますか。
A いっぱいありますね。1つは、ファンになってもらうこと。あと、障害者スポーツは、障害のある人にしかできないスポーツだと勘違いされることが多いのですが、健常者のみなさんが一緒になってやることによって、誰もが参加できるスポーツであるということを証明してほしいです。障害のある人たちだけでチームをつくろうとすると、人数が集まらないことが多いので、健常者と障害のある人が一緒になって、車いすバスケットボールチームを北区に作ろうとか、北区の中でも数か所にチームを作ることができると、子どもたちもアクセスしやすくなるので、最終的に子どもたちがスポーツをしやすい環境づくりにもつながります。現在は、近くにチームがなくて、片道1時半とか2時間かけて遠くに通わなければいけないという理由から、保護者の方に余裕がないと、スポーツすることができないという環境にあるので、みなさんがチーム作りに関わることによって、保護者に頼らなくても、子どもたちがスポーツをすることができる環境を作れるとベストですよね。
パラリンピックを3大会経験している上原選手。
平昌大会を過去の大会とも比較してもらいました。
Q 平昌パラリンピックの選手村のエピソードはありますか。何かこういうことがあったとか、面白い出来事とかありましたか。
A 何もなかったな。ただただ暇な選手村だったんですよ。選手村は、食堂があって、郵便局あって、銀行あって、チケットセンターあって、美容室あって、コンビニあって、オフィシャルグッズショップあって、ゲームセンターみたいなのがあって、オフィスがあってなど、いろいろなテナントが入っていたけど、平昌はそんなに面白い選手村じゃなかったです。
Q 今までで面白かった選手村はありましたか。
A 平昌は、ただやっつけで作ったみたいな感じだったけど、バンクーバーはすごいオシャレだったね。たとえば、スクリーンがあって、そこでいつでも試合を見ることができる場所があったね。お酒は出ないけど、カラフルなドリンクを上手に飾ってあるバーカウンターがあったりしてオシャレでしたよ。
Q 選手村の食事はいろいろな国に対応したものが出るのですか。
A そうですね。ハンバーガー、ピザ、パスタ、うどん、お野菜、チーズもいろいろな種類があって、パンもたくさん種類があったね。もちろん地元の韓国料理もありましたよ。
-美味しかったですか。
トリノとバンクーバーは美味しくなかったけど、平昌は美味しかった。唯一、トリノ、バンクーバーに比べてよかったのはご飯だね。あと、サムソンが大会スポンサーだから、選手全員に携帯電話を無料で配っていました。契約している携帯電話だから使ってどうぞという感じで自由に使えました。さらに、オリジナルの携帯電話カバーもあって、それを付けると携帯電話の画面がパラリンピック仕様に勝手に変わるとか、選手村が凄かったというよりも、サムソンが凄かったね。
-持って帰れるのですか。
持って帰れます。国内の携帯電話会社と契約すれば、日本でも使えますよ。
Q 選手村で他の選手の方と交流があったりしますか。
A 選手同士は仲良しなので、たくさんありますよ。氷の上ではライバルですけど、氷を降りたら同じホッケーをしている仲間なので。私は外交が好きなので、すぐに「だいすけ」と声をかけられて、交流しています。
Q チームプレーやチームワークで、心がけることはありますか。
A 基本的にコミュニケーションが大切だけれども、今の日本チームが他のスポーツ全体として足りないのが個人スキルだと思います。チームワークって、毎週毎週同じメンバーでやっているからチームワークになるって思われがちですけど、私はそうじゃないと思っています。個人スキルがそれぞれあるからこそ、その塊がチームワーク・チームスポーツになると思っています。たとえば、すごく上手なプレーヤーが一人いても、他の人のスキルが低かったら、チームワークは結局成り立たないと考えています。ということは、個人一人一人が持っているスキルが最終的にチームワーク・チームスポーツになるっていう意味でいうと、個人スキルをどれだけ高められるかということがチームワークを高めるのに必要なことだと意識しています。
Q パラアイスホッケーの魅力を一言で表すなら何ですか。
A 一言でいうと、迫力だね。
-迫力とは。
体と体がぶつかり合っていいスポーツですし、アメフトとかラグビーもそうだけれども、ホッケーはリンクの周りをフェンスに囲まれているから、当たられたときに逃げ道がない。そういう意味で、本当に体と体の迫力っていう感じですかね。ラグビー、アメフトなどは足を止めれば、止まった状態でぶつかるけど、パラアイスホッケーは、足を止めても滑り続けるから、スピードはそのままでぶつかるため迫力が違う。
あと、フェンスを使えるところが面白いというのもあります。たとえば、フェンスにパックを当てて、一人でワンツーすることができるとか、他のプレーヤーにパスを出せるとか。ビリヤードみたいな感覚だと思います。
Q 他のスポーツをやってみたいとか思ったことはありますか。
A ありますよ。パラでいうと、スキーも好きですね。あと、テニスもやってみたいと思いっています。
-実際にプレーされたことがあるのは他にありますか。
スキーは趣味でやっていて、テニスは体験ぐらいしかやったことがないです。あとは、バドミントンもたまにやっています。基本的に駆け引きがあるスポーツが好きですね。ホッケーも1対1になったときに、駆け引きをするので好きですね。要するにフェイントをかけて、駆け引きに勝ったら相手を抜けるので、有利になる。同じようにテニスも左右、前後に振るという駆け引きがあるので好きですね。
バンクーバーパラリンピックでは、銀メダルを獲得!
上原選手の手形取りも行い、区立稲付西山公園のアスリート手形モニュメントに設置予定です。
Q いろいろ活動していく中で、ずっと頑張り続ける原動力はありますか。また、モチベーションが下がることはありますか。
A あまりないんだよね。モチベーションの戻し方としてあるとしたら、世界のかっこいいプレーヤーの上手なプレーの動画を見て、この技やりたいなと思って、それをイメージしてリンクに乗ってやってみることによって、「できないな。じゃあどうしたらいいかな。」と考えることによってモチベーションを上げています。
Q 試合の前にこれを食べると頑張れる食べ物はありますか。
A 選手は、おにぎりを食べているね。日本チームは、選手が17人いますが、試合などの際には、荷物に必ず炊飯器を持っていきます。現地で炊飯器を回収されて、それをマネージャーが炊いてくれて、試合前におにぎりが配られます。
Q おすすめのおにぎりの具はありますか。
A 梅干しだね。おにぎりは試合前にも食べるし、後にも食べます。アフターで食べるときは、なおさら梅干しがいいね。
Q 尊敬している方は、いらっしゃいますか。
A 1人と決めることは、難しいですね。それぞれのカテゴリーでいます。たとえば、パラアイスホッケープレーヤだとこの人、NPOだとこの人、企業だとこの人、親御さんだとこの人というかたちでたくさんいます。
Q 北区でよく行くスポットはありますか。
A 家の近くにあるチーズナンが美味しいカレー屋さんには、よく行きます。
Q 北区の子供たちにメッセージをお願いします。
A 区内には、東京都障害者総合スポーツセンターがあるなど、他にもさまざまな体育館やスポーツができる環境が整っているところがたくさんあります。区内だけじゃなくて、リンク上でもいいので、スポーツを通して出会い、一緒にスポーツができることを楽しみにしてます。
テレビ番組などのメディア関係でもご活躍されています。
今後、ますますのご活躍を期待しています!
インタビュアー:平成30年度”#ときおぱ”メンバー 大河原はる香、大和田萌加、齋藤希子
※インタビューは、平成30年4月中旬に行いました。
お問い合わせ
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