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掲載開始日:2023年6月20日

最終更新日:2023年6月20日

東京都北区長就任にあたっての施政方針及び所信表明について(全文)

所信表明この度、北区長に就任しましたやまだ加奈子でございます。
区長就任後、初の区議会定例会を迎えるにあたり、改めて区議会並びに区民の皆さまにご挨拶を申し上げますとともに、今後の区政執行の基本方針についての所信の一端を申し述べさせていただきます。

この度の区長選挙では、コロナ禍を経て、国・社会が大きく変革した社会情勢等を受け、本当に多くの区民の皆さまから、「もっと北区を前に進めてほしい。」、「もっと北区を良くしたい。」という声をいただきました。
そうした改革を求める多くの声・想いが形となり、私が区政運営の重責を担わせていただくことになったと考えております。

この原点を忘れることなく、常に区民の豊かで幸せな暮らしの実現を第一に考えながら、勇気をもって行動し、区政運営を進めてまいる覚悟です。

「みんなで創る。北区新時代」-を北区の基本姿勢とし、「誰かひとりではなく、みんなが豊かさを感じることができるあたたかな北区」、そして「すべての区民が輝くまち北区」を築き上げてまいります。
そのために、区長になってもこれまでどおり地域や現場に足を運び、区民、利用者や職員の声を伺い、自分の目で確かめる「現場主義」、そして若者から高齢者まで直接、意見を交わす「双方向主義」で、区民の皆さまの声を区政に反映させてまいります。

区民の声を区政で実現するには、「区民の皆さまを第一に考え、行動する区政」、「真に区民のための北区」へと大胆な変革が必要です。

私は職員に、どうしたら区民の皆さまに喜んでいただけるか、利便性が向上するのか、そしてそのために、区役所の時間的感覚、金銭的感覚、慣例などを、スピード感をもって変革していくことを、これまで以上の勇気と覚悟を持って臨んで欲しいと、伝えました。
区議会の皆さま、区民の皆さまにおかれましても、20年ぶりに区長が変わることで起こる、このような変革を初めて経験される方も多いと思いますが、是非ともご理解とご協力を賜り、「みんなで創る。北区新時代」を一緒に創らせていただきたいと存じます。
 

区民のための7つの政策

私は、「みんなで創る。北区新時代」を実現するために、7つの主要政策を掲げました。

区民サービスNo1の行財政改革
子どもの幸せNo1
つながる医療・福祉No1
区内産業支援で経済活性化
安全・安心No1の防災と北区強靭化
100年先を見据えたまちづくり!
文化・芸術・スポーツを区民目線で活性化!

以下、7つの政策について、ご説明申し上げます。
 

区民サービスNo1の行財政改革

まず、区民サービスNo1の行財政改革です。

区民の想いが政策に反映される区役所にしていくには、何よりも行財政改革や、区役所そのもののあり方を見直す構造改革、もっと言うなら、北区役所の長年の「文化を変えること」が必要だと考えています。

その改革を推進する不退転の覚悟を示すため、本定例会において、公約で掲げました、区長の退職金に関する条例をご提案いたしました。

私は、これまで区長の退職金のあり方について、任期満了ごとに支給され、再選された場合には同じ人が何度も退職金を受け取れることについて疑問を感じてきました。私自身が区長になった今、自らに関わることであってもその疑問と向かい合い、抜本的な見直しを図ります。

次に、区役所の縦割りを解消するとともに、さまざまなノウハウを持つ民間団体との公民連携や、国や東京都との取組みを強化する、「しごと連携担当室」を新設します。そのことで多様化する行政ニーズにお応えし、横断的に動ける区役所としてまいります。

また、デジタル化の進展やDXの推進など、社会を取り巻く環境は大きく、もの凄いスピードで変化をしています。

区役所としても業務のデジタル化を加速させ、職員の働き方改革を進め、デジタルでできることはデジタルに、人でなければならない業務には、より多くの職員を配置し、区民に優しい区役所にする。そして区民の行政手続きのデジタル化を進め、区民サービスを高めてまいります。

そのために、「(仮称)デジタル推進条例」の制定に着手するとともに、更なるDX推進に向けた外部人材の登用など、スピード感をもって推し進め、区民の皆さまの満足度と利便性の向上を実現してまいります。

また、EBPMの推進や、内部努力の徹底・歳出削減はもとより、新たな歳入確保へ積極的に努めるなど、無駄をなくしスピード感のある行政運営を行うことで、更なる区民のための経営改革に努めてまいります。
これらの取組みを通じて、区民サービスNo1の区政を作ってまいります。
 

子どもの幸せNo1

次に、子どもの幸せNo1の実現です。

私も子どもを持つ親として、区議会議員時代から、子ども子育て・教育施策には強い想いをもって関わってきました。

国では、こども家庭庁が設置され、新たな政策の枠組みが示されるこのチャンスを逃す事なく、北区の子どもたちの命と未来を社会全体で見守り、支えるための子ども子育て・教育施策をより地域ごとの実状を見極めながら、きめ細かく、進めてまいります。

そこでまず「(仮称)北区子ども条例」を策定し、子どもの視点や意見を区政に反映し、子どもを社会全体で育てていく意識を高めていくための第一歩としてまいります。

その理念のもと、子ども子育て・教育施策の実効性を高めるための新たな実行プログラムを進めてまいります。

具体的な取組みとしては、今回の補正予算において、公約に掲げた公私立幼稚園の給食費の無償化、児童館や子どもセンターを活用した、子どもも親も相談できる相談窓口の設置に加え、保育料の第二子無償化など、更なる子育て支援の充実について、ご提案をさせていただきました。

また、保育施設の多機能化等を検討することで、より子どもの育ちと親を支える環境を作ります。
さらに、平成25年に制定された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の理念に基づいて子ども食堂への支援など子どもの貧困対策を総合的に取組むことをはじめ、妊活支援から出産、子育て支援まで切れ目のない支援を充実させるため、プレコンセプションケアや伴走型支援などにも力を入れてまいります。

教育においては、誰一人取り残さない教育と質の高い先進教育の両立を実現していくため、教科担任制の導入のほか、学校教育を支援する具体的な取組みも検討してまいります。

また、コロナ禍が明けて環境が変化する中で、子どもたちの命と健康を守るために、徹底的に寄り添った支援の強化が必要です。不登校対策の強化や、学校の一人一台端末から相談できるアプリ導入などを検討し、特に不安定になりやすい傾向にある夏休み前後を強化期間として、子どもたちが相談しやすい体制を早急につくり、一人ひとりに支援が届くよう周知徹底を図ります。
 

つながる医療・福祉No1

次に、つながる医療・福祉No1の実現です。

私の政治家としての原点は、高齢者・障害者福祉にあります。私自身、障害のある父を持ち、伯母の介護と看取りを経験し、障害のある方やそのご家族、介護や医療現場への想いを、強く持つようになりました。

特に、高齢化率が高い北区においては、高齢者施策や障害者施策などの福祉施策を充実させていくことが、より豊かな区民生活につながると確信しています。
在宅介護とその家族を支える仕組みの充実・深化、関係者の連携を強化し、地域包括ケアシステムを、これまで以上に運用しやすくすることが重要であり、また特別養護老人ホーム待機者を減らすための取組みは、いち早く実行してまいります。

障害者福祉にあたっては、就労支援を含めた居場所づくりを進めるほか、区内初の入所施設の整備に向けた本格的な検討を開始します。
さらには、障害者・障害児が社会の中でより豊かな生活を送るための環境整備や、そのご家族を支えるため、当事者のご意見を十分伺いながら、レスパイト支援の強化なども検討してまいります。
また、人生百年時代にあって、健康寿命を延ばすために「あるきた」など既存アプリの更なる活用を図るほか、高齢者が元気に活躍できるよう、新たにヒアリングフレイル対策の一環として、補聴器購入費補助なども導入し、生きがいをもって活動できる環境を作ってまいります。

コロナ禍は医療提供体制についても、大きな問題を投げかけました。区内医療関係者による会議体を設置し、北区における新たな医療ビジョンを描くほか、新興感染症に対しても、国・東京都・区が一体的対応を実現することで、即応力を強化してまいります。
 

区内産業支援で経済活性化

次に、区内産業支援で経済活性化についてです。

北区の経済をけん引するには区内産業や商業の活性化が欠かせません。
まず、新たな産業・商業の担い手である「人」の育成を強化するほか、スタートアップ支援や創業、業態変更等へのチャレンジを力強く応援するための支援を行い、新たな拠点整備も含めて検討を進めてまいります。

さらに、新たな商店街振興策として、北区商店街連合会事務局にコーディネーター機能の充実を図り、それぞれの特徴を活かした魅力ある商店街づくりを進めてまいります。
東京北区から日本を導いた渋沢栄一翁の精神を受け継ぎ、SDGsを通じて新しい時代に必要とされる事業者の取組みを推進するため、23区初となる認証制度を導入してまいります。

さらに将来的には、社会的貢献と産業活性化の両立に取り組む事業者への支援も検討してまいります。

また、これからの時代においては、経済と環境の好循環で、地域力を高めていく必要があります。
ゼロカーボンシティの実現に向けては、国や東京都とも連携しながら、個人や企業への省エネルギー対策の更なる取組みを支援するための新たな方策を検討するほか、リサイクル活動の拠点として、エコー広場館との連携を強化することで、区民への啓発を進めます。

また、友好都市などと連携し、カーボンオフセットや環境学習に関する取組みなども新たに推進してまいります。
 

安全・安心No1の防災と北区強靭化

次に、安全・安心No1の防災と北区強靭化についてです。

災害は、今日起こるかもしれません。区民の命に直結する、緊急度の高い施策として、緊張感とスピード感を持って取り組む必要があります。
切迫する首都直下地震や、地球温暖化に伴う気候変動による風水害の頻発化・激甚化などのあらゆる自然災害への対応を徹底的に進めてまいります。

まず、北区の防災に関する基幹計画である北区地域防災計画の改定に向けて、議論を深めるとともに、「大規模水害避難行動支援計画」に基づく、個別避難計画の作成に向けて専属チームを設置し、スピード感をもって進めてまいります。

また、地域防災力の向上に向けた避難所開設訓練を引き続き実施するほか、災害時の医療提供体制の構築に向けた取組みなども合わせて進め、普及啓発・防災教育などの観点からも、DXを活用した防災を推し進めてまいります。

また、災害に強いまちづくりの観点からは、引き続き、木造住宅密集地域の解消に努めるとともに、近年、区内で増加傾向にあるマンションの防災対策として、マンションにおける防災対策マニュアルを策定するなど、区民の防災に対する意識の啓発に努めてまいります。

また、東京都では噴火対策や、災害時の電力・通信・データ不安への対応、新たな感染症への対策等あらゆる自然災害への対応と、国ではテロ対策にも力を入れています。
こうした、国や東京都の動きを踏まえ、連携のあり方や役割分担を明確にしながら、住民に最も身近な基礎自治体である北区として、区民の安全・安心を守る、北区強靭化の取組みに力を入れてまいります。
 

100年先を見据えたまちづくり!

次に、100年先を見据えたまちづくり! についてです。

まちづくりにおいては、次世代の子どもたちのため、各地域の特色を活かした、品格と先進性のある100年先を見据えて、「みんなで創るまちづくり」を推進してまいります。
特に、北区の魅力を高める駅周辺のまちづくりについては、100年先を見据えてどのようなまちにするのか、ハード整備とともにソフト面のあり方として、エリアマネジメントの考え方を導入し、地権者との連携と、そこに住む方々の想いも伺いながら、区民の皆さまとともに、それぞれのまちのビジョンをしっかりと描いてまいります。
また、駅周辺のまちづくりとともに、駅と駅をつなぐまちの活性化は、公民連携によって進めてまいります。

民間のまちづくりファンドの組成に協力するなど、NPOや企業のほか、多種多様な団体や地域の皆さまとともに、地域の魅力を捉え直し、新たなにぎわいが生まれ、人や地域がつながる場づくりなど、心豊かに楽しめる、公民連携のまちづくりを進めます。

さらに、今年で150周年を迎える飛鳥山公園など、魅力ある地域資源としての公園の魅力を高めるため、Park-PFIや指定管理事業者との連携により、公園利用の可能性や範囲を広げ、区民のより豊かな暮らしにつなげます。

公衆トイレについても順次改修を実施しつつ、新たに民間と連携した「北区クリーントイレプロジェクト」を検討し、清潔、快適なトイレで人々の外出支援や北区の魅力向上につなげてまいります。
地域の活性化においては、町会・自治会の活性化も重要です。次世代の担い手である若年層の入会を促す取組みとしてデジタル化やDX化の支援などを新たに検討してまいるほか、北区の多文化共生や国際化に向けた取組みも進めてまいります。
 

文化・芸術・スポーツを区民目線で活性化!

次に、文化・芸術・スポーツを区民目線で活性化! についてです。

文化・芸術・スポーツは、年齢・性別・国籍などすべてを越えて分かち合い、通じ合える可能性を、大きく広げていきます。
北区には、地域の中で受け継がれてきた多彩な伝統文化や芸術活動があります。また、渋沢翁をはじめ、芥川龍之介やドナルド・キーンゆかりの地でもあります。
区ゆかりの文化資源の活用と発信にも力を入れて取り組むべく、「無心庵」の再興に向けた検討を進めるほか、芥川龍之介記念館の早期開設に向けて取組みを進めてまいります。

また、だれもが身近なところで文化・芸術・スポーツに親しむためには、裾野の拡大や魅力の発信が必要であり、そのための文化やスポーツの拠点となる場の整備と機能強化を行うとともに、文化施設・スポーツ施設をより使いやすくするための取組みが必要です。

令和9年のリニューアルオープンに向けた北とぴあの大規模改修においては、北区の産業・文化・芸術活動の拠点として北とぴあそのもののDX化、駅周辺のまちづくりとも連動した、新たなにぎわいを創出する施設となるよう、さらなる検討を進めてまいります。

スポーツ施策についても、区民の健康寿命の延伸や、豊かで健康な生活などの観点から、とても重要な取組みだと考えています。
東洋大学の赤羽台キャンパスには、新たに2,000人を収容するアリーナが建設され、この秋には豊島五丁目に北区初となる400mトラックを備えた豊島五丁目グリーンスポーツ広場がオープンするなど、区内のさまざまな場所でスポーツをする環境が整いつつあります。
23区内でも多いスポーツ施設の柔軟な利活用を図るなど、健常者・障害者・若者・高齢者が誰でもスポーツを楽しめる環境づくりを進めてまいります。

また、北区に拠点を構えるプロアスリートである日テレ・東京ヴェルディベレーザやオリンピアンをはじめとするトップアスリートや多様な団体と連携しながら、さまざまな事業を展開するほか、各種大会や事業を通じて、新たな交流とにぎわいを創出してまいります。
このほか、スポーツや文化を体験しながら学べる機会を創出し、北区の未来を担う子どもたちの豊かな感性を育むほか、新たな地域クラブ活動についても検討を進めてまいります。

これらの文化・芸術・スポーツの力を通じて、北区のイメージアップをはかり、シティプロモーションとも連携した特色ある、豊かで一人ひとりの区民が輝くことのできるまちづくりにつなげてまいります。
 

今後の区政運営について

これら、「みんなで創る。北区新時代」を実現するための7つの政策は、本年第三回定例会で議案としてお示しをする予定である、新たな北区基本構想と、今後策定を予定している、新たな基本計画及び中期計画の中で、まずは公約に掲げた150の政策を実現する具体的なプランとしてお示しさせていただきます。

区民の想いが政策に反映される、区民参加型の区政を目指して、私自身が区民の皆さまの声をしっかりお伺いするために、これまでの対面による区長との意見交換に加え、インターネットを活用したデジタルでの意見交換の場を新たに作り、各世代に渡って広く区民の声を伺ってまいります。

また、区の施策や事業をはじめ、北区の素晴らしさを、積極的に記者会見などを通じて全国に発信するとともに、公民連携による地域情報力の発信力を強化する観点からも「しぶさわくんFM」の創設・運営に支援をしてまいるほか、区議4期、都議2期の経験と実績をフルに活用し、北区と東京都、国をつなぎ、北区の可能性を大きく広げてまいります。

区議会の皆さまとは、今後の区政について、真摯に、かつ丁寧に議論を重ね、ともに新たな北区を創り上げていきたいと考えています。ご協力をよろしくお願い申しあげます。
 

みんなで創る「北区新時代」

近代日本経済の父であり、多くの社会的事業を進めて、日本人の幸福の基盤を生み出してきた、北区ゆかりの偉人である渋沢栄一翁が吉田松蔭の「夢なき者に成功なし」と言って、若者を励ました言葉を引用し、残した言葉に、

「夢なき者は理想なし 理想なき者は信念なし 信念なき者は計画なし 計画なき者は実行なし 実行なき者は成果なし 成果なき者は幸福なし ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず。」

があります。
今こそ、勢いと躍動感あふれる北区新時代に向け、区議会の皆さま、区民の皆さまとともに、すべての区民の幸福のため、「より良い北区」を実現するという大きな夢をともに抱き、失敗を恐れずに挑戦し続けてまいります。

区議会の皆さま、区民の皆さまの深いご理解とご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げ、就任にあたりましての私の施政方針及び所信の表明とさせていただきます。