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掲載開始日:2023年10月12日

最終更新日:2023年10月12日

彫刻メンテナンスワークショップ「彫刻を手と目で見て楽しもう!」開催

231011-3-110月8日(日曜日)、9日(月・祝)北区文化芸術活動拠点ココキタ(豊島5-3-13)などを会場に『彫刻メンテナンスワークショップ「彫刻を手と目で見て楽しもう!」』が開催された。
これは、区内の著名な屋外彫刻をめぐり、美術館では触ることが出来ない作品に実際に触り体で感じながら視覚だけでなく触覚を通して彫刻を鑑賞することを目的としたイベント。
参加者たちは、初日に北区ゆかりの彫刻家や屋外彫刻、これまでの区内屋外彫刻メンテナンス活動について学び、石膏と水粘土を使用した「造形制作」を体験。二日目にはオリジナルの石膏作品を完成させた後、実際に屋外彫刻作品を触って観察・メンテナンス体験も行い、鑑賞方法だけでなく文化保存の大切さを学ぶ、貴重な二日間を過ごした。

(写真:『妖精Ⅰ(作者:北村治禧)』のメンテナンス体験の様子)

本ワークショップの参加者は8名。東海大学准教授の篠原聰氏らを講師に招き、二日間にわたって開催された。
初日はココキタで篠原講師から、北区にゆかりのある彫刻家の紹介や、区内にどのような屋外彫刻が設置されているか、これまで区内で行った屋外彫刻メンテナンスの様子についての講義を聞いた後、彫刻家の高見講師による「こころのかお 内面の顔をつくろう」と題した彫刻制作体験をした。


二日目となった10月9日(月・祝)は、ココキタで彫刻作品を完成させた後、(仮称)彫刻アトリエ館(西ケ原1-16-7)にある『妖精Ⅰ(北村治禧)』の屋外彫刻メンテナンスを体験。「彫刻みまもり隊みつばち」代表の高嶋講師から説明を聞き、実際に彫刻に触れ、その質感や形状を楽しみながらメンテナンス作業を行い、自分たちの手で作品を保存していくことの大切さを学ぶ貴重な時間を過ごした。
まずは、彫刻作品を観察し、変色や汚れの状況、破損、変形、亀裂などがないか、また、実際に手で触れてぐらつきがないかを確認。次に、水をかけて撥水性や水の流れを目で確認した。
その後、弱酸性の洗剤で、場所によって様々な種類のブラシを使い分けて彫刻を洗浄していく。水分や汚れが残ったままだと最終的に白く変色してしまう原因となるため、時間をかけて汚れをとり、布やブロワーを使用して隅々まで丁寧に乾燥させていく。最初のざらついた感触からつるつるとした感触に変わり、参加者は「本物の人の肌のようになった」と喜んだ。
完全に乾燥した後、いよいよワックスを塗っていく。今回の『妖精Ⅰ』のような滑らかな曲線がある彫刻には、自然な光沢がでる蜜蝋を使用する。講師の高嶋氏は「メンテナンスで最も重要なことは、作品のオリジナリティを残すこと。ワックスは仕上がりが自然であり、また、1~2年で効果がなくなるので、メンテナンスに適している。」と説明した。
最後に、光沢を出すために布で磨いていく。高嶋講師は「事前に行った彫刻制作でも完成前に、どこをどの程度磨くかで作品の見え方が全く違ったが、自然な光沢を出すために、顔の鼻筋や、膝などの高い部分を中心に磨いていくことが大切。全体を磨いてぴかぴかにすることが重要ではない。」と前日からの内容を交えて説明。参加者は、実際の人間をイメージしながら、どの部分を磨いたらより自然に見えるか考えながら作業を進めた。全ての工程が完了し、彫刻に水をかけると、初めは全くなかったワックスによる撥水効果により、水が弾くようになっていた。生まれ変わった彫刻を見て参加者からは「綺麗になって笑顔になっているように見える」と嬉しそうに話した。


ワークショップに参加した女性は、「彫刻を触って楽しむのは新しい楽しみ方だと思いました。北区には公園や商店街、道路など至る所に彫刻作品があり、これらの保存はどうしているのだろうと思っていたが、このように地道なメンテナンス作業を行われていることを知れて良かったです。また機会があれば参加したいと思います。」と充実した様子で話してくれた。
また講師を務めた高嶋氏は、「機械を使わずに手作業でのメンテナンスを通じて愛着が湧いてくるのは彫刻作品が持つ力だと思う。彫刻に向き合い、夢中になる感覚を知ってもらい、また是非メンテナンスを体験してほしい。」と話してくれた。
 

(令和5年10月12日プレスリリース)

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